2014年5月11日

映画「祖谷物語」が阿南で上映されました。

三好市池田町出身の蔦哲一朗監督作品、映画「祖谷物語~おくのひと~」が、2014年5月11日(日)、阿南市の「夢ホール」で上映され、午前の部、午後の部とも、たくさんの観客で会場は埋め尽くされました。
主催は「あなんで映画をみよう会」(阿部和恵会長)。

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       上映のあいさつをする蔦監督。阿部会長との掛け合いも楽しく

 

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  午後の部が始まる前のひととき、午前の部の感激の余韻が残る三好市から来た地元スタッフ。

 

【田舎で生きる事、都会で生きる事・・・希望と絶望が交錯する】
人里離れた山の奥地で暮らすお爺(オジイ)と、女子高校生の春菜。
春菜は、厳しい大自然の中で、何の疑問も持たずにごく自然に暮らす、心のきれいな少女である。
周りには自然破壊だといって建設工事に反対する大人たちがいる、 高校卒業を待ちかねたように都会へ出て行こうとする若者もいる。
その一方で都会から逃れてきて、田舎に住み着こうともがく青年もいる。
そして、春菜にも転機がおとずれる・・・。
田舎で生きること、都会で生きること。生きるとはどういうことなのだろう。
けがれない心、強い心。たくましい心・・・。そして物の多さ、便利さ、速さ・・・。
何が一番大切なのだろう。
映画に登場する人たちは、そのことをグダグダとはしゃべらない。
監督はその答えを、観客の皆さんの心の中にありますよ、という風に、
時にファンタジックに、時にシンボリックに、
感性豊かな映像が、実に細やかに、やさしく、
それは手法というよりも語りかけるように、ごく自然に観る者の中に入ってくる。
それは見終わってからもしばらく私たちの心の中に余韻となって残る。
ネタばらしになるのでどのシーンが、とは言えないが、後半のあるシーンで、
ずっとこらえてきた気持ちをとうとう抑えきれずに、 おそらく多くの人が涙をこぼしたり、嗚咽にむせんだにちがいない。

ところで最後に特に言わせてほしいことがあります。
まず、最後の桃源郷ともいわれる祖谷の圧倒的な美しさです。
いろいろな角度から見せてくれる、人々を包み込むようなその四季折々の美しさ。
その一方で、私達がまったく目にすることのない、
真冬の祖谷の、すさまじいほどの美しさには息をのみました。
それから演じている人たち、
お爺(オジイ)を演じた田中泯の存在感は言わずもがなの別格として、
春菜の純粋で真っ直ぐな心が本当に美しいな、と感じました。
そして春菜の友人たち、都会からやってきた青年、
地元の人が演じているとおぼしき建設会社の社長など、
春菜を取り巻く人たちのごく自然な存在感にも、思わず引き込まれてしまいました。
映画が終わると、一瞬間をおいてから、
期せずして会場が揺れるような大きな拍手がわきおこりました。

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