2016年3月30日

映画「蔦監督」阿南で上映

「野球のまち・あなん」の文化会館(夢ホール)で、2016年3月13日(日)、池田高校元野球部監督・蔦文也さんの孫「蔦哲一朗」氏の手による映画「蔦監督」~高校野球を変えた男の真実~が上映され、会場は市内外からのたくさんの観客で埋まりました。

阿南での映画上映に当たっては、「あなんで映画をみよう会」が企画当初からずっと取り組まれ、当日は受付などのお世話をされました。
いつもながら、その誠実さと情熱には頭が下がります。
南部ライサポも駐車場係でお手伝いをさせていただきました。

会場には年配の方たちに交じって少年野球をしていそうな年代の子供たちもたくさん来てくれました。

DSCN0068DSCN0071

  あなんで映画をみよう会・阿部和恵会長          蔦哲一朗監督

 

映画の冒頭、懐かしい蔦監督の映像が次々に現れて私たちをいきなり感動させ、続いて当時聞きなれた池田高校の校歌が高らかに流れ出すと、もう胸のドキドキが鳴りやまなくなり、思わず目頭が熱くなってしまって困りました。

そのあと日本中を熱狂させた「蔦野球」の、江上や水野や畠山が生き生きとプレーをする名シーンの数々が、新聞社やテレビ局などから提供された貴重な資料によって、再び私たちの目の前に次々と展開し、あっという間に当時と同じ興奮がよみがえってきました。

 

この映画は、単に当時の試合を単純に紹介したり、蔦監督の人生をなぞるだけのものではなくて、水野、畠山などの知名度の高い教え子のほかに、監督の、ある意味知られざる本質のようなものに触れる何人かの教え子や知人・友人たちが紹介され、彼らが語る言葉には強く心惹かれるものがあり、このあたりこそ哲一朗監督の作品として意図するところかな、と思ったりしました。

ega1000

でも、やっぱり教え子たちが

「(蔦)先生より、はっきり言う。先生を一回り強力にした感じです」

と慕う妻・キミ子さんの率直な「激白」は実にユニークなもので、監督の知られざる一面が垣間見えて見応えがあり、ユーモアたっぷりの話しぶりにもどんどんひきこまれてしまいました。

会場では大きな笑い声が何度もおきていました。

夫・文也さんを語るキミ子さんを縦横無尽に登場させ、くったくなく、自由奔放に語らせた手腕は、やっぱり孫・哲一朗さんならではと言わざるを得ませんね。

最高の「主演女優賞」、まちがいなしです(笑)。

この、キミ子さんの愛すべき個性こそ、肝っ玉母ちゃんとして、やんちゃ盛りの男子高校生たちを相手に食事や日常のしつけまで幅広くこなせた所以ではないでしょうか。

 

ここだけの話ですが、「奥さんがおらんかったら、蔦はんはなかった」という地元の声が今でも語り継がれていて、その話になるとみんな黙ってうなづくようですよ、ということを聞いたことがあります(笑)。

DSCN0084DSCN0078

     「つたはーん」登場、右は祖父と孫の抱擁シーンです。相撲じゃありません。

 

さて、蔦監督の野球人生を通じて、孫「蔦哲一朗」さんが、映画という作品にしようとした動機・目的は何でしょうか。

「攻めダルマ」という異名をとり高校野球史を塗り替えた男・蔦文也という人物を、家族という視点から見た記録ということだけではなしに、当時力強い応援をしてくださった県下の野球ファンの皆さんへのお礼を込めて、またリアルタイムで見たことのない少年たちにも、かつて「徳島の池高」が何年にもわたって日本中の高校野球ファンを熱狂の渦に巻き込んだ一時代があったんだ、ということを知ってほしい、
そして、あらためて「高校野球」はこんなにすばらしく、熱いものなんだ、ということを「蔦監督」の公私にわたるありのままの姿を通じて伝えたい、
という強い思いを込めて、この映像という形のメッセージを世に送ったのではないでしょうか。

哲一朗監督が、孫という強みを生かして、家族として内側から大胆に公開した色々な映像やコメント、また身近な人たちによる蔦監督のイメージを変えそうな(笑)赤裸々なコメントまで初公開することで、「蔦文也」さんという高校野球史に残る大きな存在が、ぐっと身近に感じられて感動が倍くらいに増しました。

素人なりに言わせてもらえば、観客が蔦さんをグッと身近に感じた時点で、この映画は作品として鑑賞者の心をガッチリ掴んだといえるのかもしれません。

tuta1200

帝京高校野球部監督・前田三夫さんは映画のパンフレットの中で、

「(初対面のとき)私を見る姿勢には隙がなく、オーラさえ感じた」。その後の付き合いの中で「蔦監督は苦労の魂の人であり、度重なる修羅場をくぐり抜け、自分自身を鍛え上げてきた人だ」と感じ、この映画を見ることで観客は蔦さんの「鍛え抜かれた人間像と、多くの人達に愛され、心豊かな人間味を感じてくれると思う」。と述べられています。

 また同じくパンフレットの中で長男・蔦泰見さんが淡々と語る「父から野球と酒を取ったら、何も残らん。そうだと思います。でも、酒より野球が好きだったみたいです。」という言葉も印象的でした。酒にまつわる豪放磊落なエピソードの多い監督ですが、初めて甲子園出場を勝ち取ったとき、実はその一年前から決意して「酒を断っていた」という、泰見さんが明かす事実はそのことを如実に表しています。

DSCN0097DSCN0091

  夢ホール入口では「つたはーん」が大人気       受付では監督自らPR

 

さわやかイレブン、攻撃野球、攻めダルマ、やまびこ打線、そして「蔦野球」という自分の名前を冠した言葉まで流行らせ、日本中の高校野球ファンを熱狂の渦に巻き込んだ人、全国の高校野球の監督たちが憧れを持って目指した目標の人、

そして何よりも「高校野球を変えた人、池高監督・蔦文也」さん。

その孫の哲一朗さん、映画「蔦監督」をありがとう。

ああ、面白かった。

最高に面白かったです。

 

★今後の上映予定は順次決まっていくようですが、当面のところは次のとおりです。

★2016年4月10日(日)

徳島県・三好市立川崎小学校体育館

上映時間 10:00~

 

 

★2016年5月21日(土)

香川県・観音寺信用金庫本店(6階大会議室)

1回目10:00~ 2回目13:00~

 

PAGE TOP