2018年11月29日

阿南・那賀・海部の自治体に対し、自治体要請行動を展開

連合徳島は地協活動の強化と顔の見える労働運動の展開を重要な方針として掲げ、その一環として県下統一の「自治体要請行動」を展開しています。
2018年も基本的な要請項目をまとめ、県下3地協が一斉に行動を展開し南部地協は10月4日(金)に管内の自治体に対して要請書を提出しました。
私たちは、住民の方々の福祉向上のために、何を、どのようにすればいのか、自治体の皆さんと共に、実現に向けて努力を重ねていきたいと考えています。
今回は徳退連南部地協の皆さん、つまり退職者の皆さんの「社会保障制度等に関する要請書」の提出と一緒に、現退一致で自治体を廻りました。
私たちの求める「働くことを軸とする安心社会」の実現は、退職者の皆さんの求める「生き生きと安心して暮らせる社会」にとって必須の社会保障等に関する政策・制度とも連動しており、また自治体における様々な施策についても、ともに知恵を出し合って要請していく必要がある、との共通認識のもとに、下記の日程で1市4町の首長さんへの要請行動を現退一致で展開し、回答(見解)を頂きました。

【回答日】
11月12日(月):那賀町、牟岐町
11月14日(水):阿南市 橋本幸子市議、仁木啓人市議、福谷美樹夫市議が同席
11月26日(月):美波町、海陽町

要請内容は(1)地方税財政の確立(2)すべての労働者に対する職業能力開発機会の充実(3)良質な雇用・就業機会の実現に向けた対応(4)最低賃金の履行確保の強化など14項目。その内、地域行政に直結する3.良質な雇用・就業機会の実現に向けた対応5.公契約条例の制定による公契約の適正化6.生活困窮者自立支援体制の確立と子どもの貧困対策、生活保護の運営体制の改善・充実9.子ども・子育て支援新制度の着実な実施と、すべての子どもが心身ともに健やかに育つための環境整備12. 総合的な防災、減災対策の充実 については口頭により回答や見解を示していただき、課題の解決に向けて忌憚のない意見交換をしました。

      那賀町・坂口町長             牟岐町・福井町長

 


     阿南市・岩浅市長    市民クラブの橋本、仁木、福谷の各議員に同席いただきました

 

      美波町・礒野副町長             海陽町・島田副町長

 

阿南市長への要請に際しては、連合推薦議員、橋本幸子議員、仁木啓人議員、福谷美樹夫議員に立ち会っていただきました。
また、12月議会を控えて大変ご多用のなか、関係する課長や担当の皆様にもご出席をいただきました。
各自治体とも、14項目に及ぶ要請項目について、まずは文書による回答(見解)をいただき、続いて地方行政に直結した重点課題5項目(3.5.6.9.12)について直接回答を受けた後、さらに深く見解等を求め、忌憚のない意見交換を行いました。

良質な雇用・就業機会の実現に向けた対応については、言われるまでもなく、各自治体において若者の定住、子育て、高齢者の介護など抜本的な課題に通じる喫緊の課題であり、それぞれに鋭意取り組んでおられる。
UIJターンの人を対象に一定条件のもとに起業補助金制度を設けている。要望が多く条件の緩和を求める声がある(美波町)。関係各機関との連携に努め、管内各企業には助成金の説明、よりよいマッチングを目的に合同就職面接会などの開催、また、雇用形態に応じた安全衛生対策や、労働時間の管理適正化などの周知と厳守について指導している(牟岐町)。人口減少のなか、特に若者が町内で生活できる仕事づくりに取り組む。阿波尾鶏(シェア45%)やキュウリ栽培、漁業振興をはじめとする一次産業の強化を図り、「回帰型奨学金」の導入や、町外からの移住者に向けた「キュウリ塾」など雇用の定着と労働力の確保につなげていく(海陽町)。

公契約条例について。総合評価入札、プロポーザル方式によりダンピングの防止や品質確保において一定の効果を上げていると考える。今後も国・県の動向を注視しながら適正な契約制度の確立に努める(那賀町)自治体が発注する建設工事や委託業務などに従事する労働者の賃金に下限を設け、地域経済と市民福祉の向上のための条例と認識している。適正な労働条件確保のためにはダンピング受注の防止や予定価格の適正な設定が最重要と認識しており、今後慎重を期しながら取り組んでまいります(阿南市)。公契約を通じて適正な賃金水準など労働条件の確保によって事業の質の向上を図り、ひいては地域経済の健全な発展と住民の福祉向上に寄与できるものであるとの認識については一致したが、各自治体とも具体的な進め方については腰が引けているのが現状である。単純な競争によるによる徒な価格の低下(賃金の抑制)と事業の質の低下をなくすために、公契約基本法、公契約条例の制定に向けて、順次、住民・事業者の理解を得ながら進めていってほしいと要請しました。

生活困窮者自立支援体制の確立等に関して。自立相談支援事業の充実についてはさらに国に働き掛けたい。各町とも支援員の資質向上に努めるとともに、パーソナルサポートセンター、県の暮らしサポートセンターとの連携に努めている。支援を必要としながら隠れている真のニーズの掘り起こしなど、より拡充していく必要について活発な意見を交換した。また支援の現場からの声を受けて、学習や家計支援など、任意の事業の必要性について説明し実施をお願いするとともに、自立に向けた体制作りのための一時的な手段として生活保護の活用をお願いした。

子ども・子育て支援制度については各自治体ともに少子化対策の改善や充実に独自のあるいは複合的な対策に力を入れている。
保育所の受け入れは第2子以降、無料化している。幼稚園教諭、保育士・放課後児童支援員等の労働条件、職場環境の改善については、常勤職員は定数の5割増し、非常勤職員については10割増し配置し、保育教育の確保に努めている(美波町)。
保育士不足の状況があり、保育環境の向上に努めていく。子ども・子育て会議のほかに少子化対策審議委員会を設置し子育て世帯の代表者等の真に必要な支援策について議論し「海陽ならでは」の施策を展開している(海陽町)。

総合的な防災・減災対策の充実については、経験値の高い県南海岸部の自治体として日頃から住民のお世話にあたっていて居住の実態把握をしている民生委員や婦人会の方々を含めた避難や情報伝達など具体的・実質的な防災・減災訓練をしている(牟岐町)。先ずは自助の意識づくりが大事。一方で要援護者の把握に努める。山を切って防災公園の整備にかかる(海陽町)。山崩れ・洪水などの被害が多発する那賀町においては築堤事業などが大規模に進められており、被災時の速やか情報周知、情報共有、ドローンの活用などについての対策も、試行錯誤中ではあるが、体制を整えつつある。また、自助・共助の意識の醸成にも努めていく必要がある点で認識の一致を見た(那賀町)。

終了にあたり松本議長から、要請書の趣旨をふまえていただき、来年度の予算への反映をお願いすると同時に、県、国レベルの課題については機会をとらえて共々に要望等をしていただけるよう強く要請し一定の理解を得ました。

なお回答の当日は、当該自治体の労働組合(自治労)の方々にご配慮いただくとともに立ち会っていただきました。大変お世話になりありがとうございました。

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